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ABBYYのAI OCRで税務収納業務の効率化が進み外部委託費を皆減 業務の完全内製化を実現し、生産性も大幅向上

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ABBYYのAI OCRで税務収納業務の効率化が進み外部委託費を皆減 業務の完全内製化を実現し、生産性も大幅向上

政府 | 各種帳票処理/データキャプチャ

お客様の概要

氏名 中野区役所
本社 東京都中野区中野4丁目8番1号
ウェブサイト

中野区は、東京23区の西部に位置する人口約33万人の特別区。漫画やアニメなどのサブカルチャーの発信地として知られる中野ブロードウェイや、コンサートホールの中野サンプラザなどが有名だ。現在、中野駅周辺の再開発が進められており、街の姿が大きく変わろうとしている。それに呼応する形で中野区役所のDXも加速している。これまで人手に頼っていた税務収納に関する業務を、デジタルを活用したワークフローに一新。そこで使われているのがABBYYのAI OCRだ。本記事では、中野区のデジタル活用に関する取り組みについて紹介しよう。

チャレンジ

収納業務効率化は至上命題、どう業務効率化を図るかとともに、そのコストが課題

ソリューション

ABBYY FlexiCapture

結果

構築された住民税収納消込業務の改善ソリューションモデルを使うことで、基幹システムへの取り込みデータを内製化。コストも外部委託時より30%削減

収納業務効率化は至上命題

住民税の特別徴収分は周知のとおり、各企業が従業員の給与から差し引き、まとめて自治体に納付している。税金が納付されると、金融機関から納付書の一部である“特別徴収納入済通知書”が、それぞれの自治体に送付される。

「収納係では、税金が納付されたという情報を基幹システムに消込登録する業務があります。特別徴収の非定型私製納付書の消込データ作成業務は、キーパンチを行う外部の入力専門会社に頼っていましたが、職員の負担を軽減し、どう業務効率化を図るかとともにそのコストが課題となっていました」と中野区区民部税務課収納係長の高津麻子氏は話す。

特別徴収納入済通知書には、どういった項目を記載しておかなければいけないのかという決まりはあるものの、様式については地方自治体が印刷する済通(OCR書式)と、収納金融機関がそれぞれ作成する私製済通(金融機関毎にバラバラな非OCR書式)が存在する。

その結果、中野区で扱っている私製済通の書式は100種類を超えた。「私製済通には、機械を使ってデータを取り込めるOCRラインがありません。こういったデータを基幹システムに登録するには、人がキーパンチをしてデータを作る、つまり人の手に頼る必要がありました。」(中野区区民部税務課収納係主任主事の坂本悠貴氏)

これまではキーパンチを行う入力専門会社に外部委託し、基幹システムに取り込むデータを作成してきた。しかし昨今の人件費上昇により、外部委託のコスト増も示唆されていた。さらには委託するにも準備に相当な時間がかかることから職員負担軽減、業務効率化についても大きな課題となっていた。

「毎月半ば、3営業日続けて総数にして約1300件の私製済通が届きます。1日にすると数百件の済通をバラバラのままパンチ委託業者に渡すことはできません。そこで、数十枚から100枚程度毎に束ね(件数・金額等を書いた頭紙と一緒にホチキス留め)、送付書を作成する等、準備作業を済通が届いたその日に行います。業者は翌朝済通を引き取りに来るので、その作業のために他の作業を後回しにし、残業して対応する必要がありました」(坂本氏)

AI OCRでデータ作成を内製化

これらの課題を解決するため、中野区が着目したのがAI OCRだ。

「AI OCRであれば、さまざまな様式の帳票や複数ページに亘る帳票のなかから基幹システム取込みに必要な項目を抽出し、正確に読み取ることができます。その機能をもってすれば、多種多様なパターンの特別徴収納入済通知書から基幹システム取込用のデータの作成を内製化することができると考えました」(高津氏)

そこで中野区ではトッパンフォームズと契約締結し、ABBYYジャパンを始めとするパートナー企業と共に住民税収納消込業務の改善ソリューションモデルを構築した。ここでは、ABBYYジャパンのAI OCRが使われている。

ABBYYのAI OCRは、NLP、機械学習、深層学習などが一つのプラットフォームにまとめられているソリューションで、定型帳票はもちろん、複雑な非定型帳票などさまざまな種類の文書を扱うことができる。非定型の特別徴収納入済通知書も、定義を用意すれば対応可能だ。

「非定型帳票の読み取り精度を向上させるため、何度もテストを繰り返し、抽出条件を細かく設定していきました。その結果、読み取り精度が向上し、業務効率も格段にアップしました」(高津氏)

ABBYYのAI OCRは読み取り精度や拡張性が高く、スクリプト処理も可能なため、データの突合・補正やルールチェック処理を行い、基幹システムに取り込める形でデータを出力できる。

ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)やビジネス・プロセス・マネジメント・システム(BPMS)などのコンテンツ主導のビジネスアプリケーションで採用されるケースが増えており、多くの企業が導入を進めている。

「AI OCRを活用することで非定期帳票や複数ページに亘る帳票から必要なデータを抽出し、基幹システム取込用のデータレイアウトを自動生成できるようになりました」(坂本氏)

消込データ作成にかかるコストが低減し、業務効率も向上へ

こうして構築された住民税収納消込業務の改善ソリューションモデルを使うことで、基幹システムへの取り込みデータを内製できるようになった。課題であったコストも外部委託していたときの30%削減に成功している。

内製化したことで、職員が個々のペースで、他の業務の進捗状況などを考慮しながら作業できるようになったという。

「以前は、入力専門会社に資料を渡す期限が決まっており、その締め切りに追われていました。住民税収納消込業務の改善ソリューションモデル構築後は、職員が残業する頻度も減りましたし、これまで特別徴収分納入済通知書の処理のために後回しにしなければいけなかった業務も、優先度を考慮しながら時間を割けるようになりました。現場でも業務生産性が向上しているのを実感しています」(高津氏)

また、これまでは入力専門会社にデータ作成依頼して、基幹システムに取り込むまで、早くても2営業日が必要だったが、その時間も大幅に短縮している。

ノウハウを横展開し、自治体DXの推進を図る

中野区役所では、住民税収納消込業務の改善ソリューションモデルが使える端末を増やしていく計画だ。端末が増えれば、より効率的に作業することができ、生産性が向上する。これまでよりはるかに短い時間で基幹システムにデータを登録できるようになるだろう。

「自治体の業務には、まだ多くの紙帳票が使われています。ABBYYのAIソリューションを使うことで、業務効率や生産性の向上、コストの削減などを実現できる業務は多いと思います」(坂本氏)

昨今、「働き方改革」や「デジタルトランスフォーメーション」などが求められている。中野区のように紙帳票をデジタル化し、ビジネスプロセスを変えていけば、着実に実現できるだろう。

中野区の事例は、他の自治体や企業でも活用できる汎用性の高いものだ。

「特別徴収分納入済通知書の基幹システムへの消込業務は、他の自治体でも同じような課題があると思います。RPAを導入せずともAI OCRひとつで、データ読取りから基幹システム取込用データ作成まで行える、画期的なシステムを紹介いただきました。当区の事例を知ってもらい、ぜひ活用していただきたい。自治体のDX推進の一助になれば幸いです」(高津氏)

「数年前まではAI OCRという言葉すら聞いたことがなく、業務の効率化を図るといえば業務委託しか方法がありませんでした。私どもの業務も委託を進めようと検討してきましたが、コスト面から実現はしませんでした。今回導入したABBYYのAI OCRは「使いやすさ」「コスト」「業務効率化」どれをとっても、業務委託をはるかに凌駕するのではないかと思っています。これは内部管理事務に変革をもたらす可能性を秘めた有能なツールであると実感しています。」(高津氏)

デジタルを利活用しようとしている企業にとってABBYYのAI OCRソリューションは有益なツールとなる。それを体現している中野区の事例は、多くの企業や自治体の参考になるはずだ。

写真左より、TOPPANエッジ株式会社 石田様、中野区 高津様、坂本様、TOPPANエッジ株式会社 大台様

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