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新型コロナウィルス(COVID19)による金融サービスの変化

Reginald J. Twigg

9月16日, 2020

mobile banking, digital banking, business continuity in the year of COVID | ABBYY Blog Post

ほんの8か月前は、公共の場で交流したり、ビジネスを行ったりするために、ソーシャルディスタンスを気にすることが通常となるとは誰も思いもしていませんでした。しかし、今、まだ年の途中ですが、マスクと手除菌アルコール無しに、現金を持って、ソーシャルディスタンスを気にせずに、店に行ったり、食事をしたり、銀行へ行ったりすることは到底考えられません。想像もできませんでしたが、街の規則のようにも見えるバックミラーからぶら下がったマスク(ちなみに、この行為は、米国では、街によっては違反です)が無いと車にも乗れません。ソーシャルディスタンスを取り、安全性を確保し、可能な限り人の接触を置き換えるデバイスを活用する、新常態に合った方法が、他の多くの業界と関わりながらビジネスをおこなう金融機関には求められています。

同時に、このコロナパンデミックが拍車をかけたこれらの条件により、銀行へのサービス需要が急増しています。低金利や新しいローンの申し込みを活用するリファイナンスの申し込み殺到、既存の債務や投資ポートフォリオの変更と引き出し、そして日常の口座サービスへの一時猶予の要求と、金融機関は顧客とのやり取り(実質、これらのやり取りは、今は自宅からリモートで行われますが)に追われています。

このような状況、つまりリモート等でソーシャルディスタンスを保ちつつ金融取引の急増に対応してそれらを管理する必要がある状況の中、金融機関はテクノロジーの優先順位をしっかりと検討し、それを迅速に行うことを求められています。

銀行管理機関Bank Administration Institute (BAI) からの最近の市場報告:

コロナの感染拡大によって、労働力が突然テレワークにシフトし、遂行する必要がある作業量が大幅に増加しました。そして、一般の人々への銀行サービスの提供において、ビジネスの方法が大きく変化しました。

デジタルファースト戦略の銀行、特にネット銀行と呼ばれる銀行は、長年このような状況に備えてきました。今回のような世界レベルの新型コロナウィルス感染を予測して具体的に準備してきたわけではありませんが、大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション)により、業界は10年前には想像もできないような方法で、既に顧客を満足させる準備が整っています (参考文献i)。i

ソーシャルディスタンスを保ち、リモートで急増している新しいカスタマサービス要求に即座に対応することは、結局、金融機関がどのように業務プロセスの自動化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の順位付けと実行をおこなっているかという自身に対する質問になります。

新たな日常の中でのビジネスの継続を達成するために

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Uberドライバーのようなテクノロジーへの投資と採用を伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)は2020年よりも前に既に起こっていましたが、新型コロナウィルス危機により、優先事項および課題がより明確になってきました。自動化、モバイルエクスペリエンス、コンテンツの処理、およびこれらが使われるプロセスは、新たな日常、ソーシャルディスタンスに迅速に適応する必要があります。最近、テクノロジーの必須事項として広く定義されている「ソーシャルディスタンス」とは、ビジネスを遂行するための物理的な(人から人への)距離と仮想の距離(セキュリティ保護とスマートなテクノロジーエクスペリエンスに依存)の両方を指します。これらはすでに銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)アジェンダの構成要素である場合がほとんどなので、銀行がビジネスを行う上で「ソーシャルディスタンス」は意識せざるを得なく、現在最優先事項です。「ソーシャルディスタンス」は、顧客サービス、運用効率、金融犯罪や詐欺に対する防御などに直接影響し、規制遵守の中心となります。

人工知能(AI)は、ソフトウェアボット(ロボットプロセスオートメーション– RPAによる)とともに、銀行でのソーシャルディスタンスへの意識を広げるソリューションとして、業界の最前線に躍り出ました。 上述のBAIソース(参考文献i)が絶賛するように、ボットは対面のお客様サービスの代わりとして急速に展開されています。:

「会話型AIは、デジタルファースト戦略の約束を果たす上で特に重要です。 チャットボットの急増から大きく進化した現代の会話型AIが主導して、顧客や従業員と実際の会話を行うことができます。 これにより、デジタルファーストを掲げる銀行は、顧客が問題を解決するのを実際に支援する仮想エージェントを提供することができます。」 - 特に価値あるスキル.(参考文献ii)ii

実際、最前線の顧客とのやり取りシーンで、ボットを使用して人間スタッフを置き換えることにより、AI主導の自動化として、次の大きなフロンティアになることが期待できます。

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こういったことが約束されているにもかかわらず、AIテクノロジーは銀行が最近通常となったソーシャルディスタンスの義務に適応するのを助けることができないことがあります。 私たちが効率化と改善を達成するために何でも自動化することに慣れているために、顧客との結びつきの基本的なプロセスを重視せず、全体の流れを見ず、単なる修正として自動化してしまうような場合です。 したがって、DX(デジタルトランスフォーメーション)を単なる自動化と区別するために、銀行はその運営方法、従業員、顧客、犯罪の脅威、規制機関との相互作用について、積極的にヒアリングしなければなりません。 ソーシャルディスタンスが銀行のビジネス方法を変えたという点で、自動化、テクノロジー、および人々(顧客と従業員)とのやり取りのプロセスをどのように見ているのかを見直すべきときが来ています。 通常のビジネスからスマートビジネスへの転換は、人、プロセス、コンテンツの間の基本的な相互作用を問うことから始まります。

デジタルIQを高めよう!

新型コロナウィルス感染危機に対応するために銀行業のビジネスを変革するための基本は、ビジネスのやり方を疑問視する姿勢であり、つまり「常にこれまで行ってきた方法」を問題として捉えようとする姿勢です。 問題に直面し、それを客観的に見て、どのように機能するかを理解するための適切なツールを選ぶ能力こそが、ビジネス継続性の変革における最初のステップです。 プロセス、コンテンツ、テクノロジーを再検討するこの最初のステップは、「デジタルIQ」を向上させることです。iii

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銀行のデジタルIQを上げることは、机上での話ではなく、新型コロナウィルス感染危機が強いた社会経済的条件にビジネス慣行を適合させ、自動化をサポートするための現場での話です。 AIを活用するためにプロセスが再考されておりますが、顧客の各種申込処理、クレジットや貸付などのサービスの提供、サイバー攻撃、IDの盗難、マネーロンダリングからの保護などの日常的なプロセスは、仮想化と自動化のテクノロジーにより、今日再検討する必要があると思われます。 ソーシャルディスタンスの維持は必要である一方で、賢い犯罪者による犯罪の脅威をさらに高めます。 プロセスとそのテクノロジーへの依存に疑問を投げかける適切なツールを持つことは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるための大事な最初のステップです。そして、自動化自体のインテリジェンスを高め、疑わしいアクティビティ、顧客への更なる売り上げの機会、コンプライアンスに沿っていない作業を見つけるためにデジタルIQを上げる必要があります。

金融機関は、デジタル戦略について自問し、それを遂行するための適切なツールを用意する意欲、程度に応じて、これらの課題に対処するでしょう。あらゆる危機において、ビジネス継続性を維持するためには、根本的な状況が急速に変化しているときに、収益の流れ、利益、および顧客満足を維持する方法をすばやく見つけることが必要です。 顧客サービスの自動化、ドキュメント処理、脆弱性への対処は、銀行がプロセスとサポートするテクノロジーを新しいビジネス条件に適合させることで達成できます。 全てにおいて、デジタルIQは必要です。

新型コロナウィルス感染危機で新たに定義された新常態の法則では、それはソーシャルディスタンスを事実として受け入れ、ビジネスの世界で、切磋琢磨し、成長するよう適応させることを意味します。

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新型コロナウィルス感染危機は、明確なタイムラインがなくても、最終的には終息します。 しかし、今回定義された新常態の法則は人々が社会空間をどのように認識するか、物の交換(紙幣が最良の例です)をどうするか、テクノロジーにどう期待し、どう活用していくかに、永続的に影響を与えます。 これらの事実をいち早く受け入れ、ソーシャルディスタンスをビジネス慣行のコアコンピテンシーとして機能させる方法を見つける金融機関が勝者となるでしょう。

議論の続きはウェビナーで:

ウェビナーへのアクセスはこちら(英語サイト) Digital Strategies for Banks to Thrive in Today’s Crisis and Beyond.


参考文献

i Ergun Ekici, “How AI Is Helping Banks Serve Customers during COVID-19,” BAI Banking Strategies, May 29, 2020

ii Ibid.

iii In psychology, IQ or Intelligence Quotient, is a measure of a person’s skill at recognizing, understanding, assessing a problem and bringing the right tools to bear on solving it quickly. Whereas intelligence is largely the knowledge one possesses, IQ is the skill with which knowledge is applied to solve complex problems.

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